前回は「聖書をひと言でいうと…」というお話をしましたが、今回はイエス・キリストがおっしゃった「聖書で最も大切な戒め」について書きますね。

 この聖書の箇所が言う『律法学者』とは、イエス・キリストの時代のいわば「聖書の専門家・教師」のような存在です。ですからこの質問は「イエスに教えを乞うた」というよりも、「イエスを試そうとした」という方が妥当でしょう。しかしこの後イエスの答えを聞いた彼は、その明瞭・適切な答えに感動して沈黙した、と書かれています。では、イエスは一体どのように答えたのでしょうか?

 イエスはこう答えました。「まず第1に『心から神を愛すること』だ。唯一の創造主なる神をおのれの神と認め、このお方だけを礼拝し、そのみこころを求めて従うこと。これが何よりも大切だ。そしてそれと同じくらい大切なのが『自分を愛するがごとくに周囲の人々を愛すること』だ」と。

 ここに『3つの愛』が述べられています。「神への愛」「自分に対する愛」「隣人愛」です。この3つに優劣があるわけではなく、『序列』があるんです。すなわち、「まことの『創造主なる神』を知り、この方との愛の関係の中に生きることなくして、『自分自身の真の存在価値』を知ることはなく、真の意味で自分を大切にして生きることもできない。また、自分が神との関係の中で、『神からの深い愛』を体験するまでは、自分自身を注ぎ出して他の人々のことを親身に顧みることができない」ということなのです。

 「キリスト教の精神は『愛』である」と言われるゆえんは、ここにあります。それは決して「自分の身を削って、無理して他の誰かのために何かをしてあげる」ということではなく、「神との愛の関係から生まれて来る、心から泉のように湧き上がってくる『神の愛』を、人々の間で注ぎ出しながら生きる」ということなのです。神が私たちを通して他の誰かにご自身の愛を表現されるのを体験する時、私たちは初めて「自分が生まれて来た本当の意味」を発見することができるのです。

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