(489) “あなたの唇が公正を語るなら、私の心は喜びに踊る。”

 ご存知でしたか?アメリカ歴代大統領の中で、任期半ばで辞任を余儀なくされたのは、たった1人だけだということ。この不名誉な歴史を刻んだ人物は『ニクソン大統領』です。優れた大統領であった彼が辞任に追い込まれた理由は、1本のテープに吹き込まれた彼の『言葉』だったそうです。「口は禍の元」と言われますが、一旦口を出て行った言葉は決して取り戻すことはできない。恐ろしいですねぇ。  聖書の中の『箴言』という書物には「口から出る言葉」に関する警告が150回も出てきます。いかに私たちが「自分の語る言葉」に注意を払わなければならないかを思い知らされます。調べによると、ごく普通の人が50年間に語る言葉を集めると、300ページの本12000冊分にも及ぶそうです。いわば私たちは1人1人、これだけの歴史、また財産をこの世に遺しているということができます。ある人は「自分の語る言葉なんて取るに足りないものだから…」と思うかもしれませんが、そのような人が語った言葉のいくつかも、実際誰かにとって「決して忘れられないひと言」になっていることがあるのです。  「語る内容」だけではありません。私たちが語る言葉が、「誰に対して」「誰について」「いつ」「どこで」「どのように」語られたかも、人々の人生に関わってきます。改めて「自分が語る言葉」をよぉく吟味していきたいですね。