(155) “夕、朝、真昼、私は嘆き、うめく。すると、主は私の声を聞いてくださる。”

「ブルータス、お前もか!」とは、ジュリアス・シーザーが腹心の部下ブルータスの裏切りにあった時にもらした言葉としてあまりにも有名です。「信頼していた人からの裏切り」という経験は、その人の人生に実に長く深い傷をもたらすものです。 聖書の中ほどに『詩篇』という書物がありますが、その第55篇に、イスラエルの王ダビデが親しい友に裏切られたときの心の叫びが詠われています。そこには彼の落胆、怒り、うめき、そして憎悪さえも描かれています。 以前1人の青年が私たちのところに尋ねてきました。その顔は憂いに沈み、何に対しても無気力でした。彼は最も信頼していた友人に、大切な恋人を奪われたのでした。 詩篇の第55篇は『神への賛美』で締めくくられています。一体ダビデはどのようにしてこのような苦しみから立ち直ることができたのでしょうか?それは彼が神への信仰の故に次の2つのことをしたからです。 ①この苦しみを自分の心の中に閉じ込めてしまうことをしないで、勇気を持って神に打ち明けた。 ②「神は自分の代わりにこの重荷を負ってくださり、また自分を立ち直らせることができる」と信じた。 この詩篇の終わりの部分でダビデは次のように言っています。「あなたの重荷を主にゆだねよ。主は、あなたのことを心配してくださる。主は決して、正しいものがゆるがされるようにはなさらない。」 私たちのところに来た上記の青年は、半年ほど私たちと生活を共にし、その中で自分の人生を神に全面的にゆだねる決心をしました。彼は今ではもうすっかり立ち直って、幸せな結婚をし、現在はキリスト教の牧師となって人々(特に若者たち)に希望のメッセージを伝え歩いています。